億万長者とアート
日本のカジノ王が建てた美術館は収蔵数、広さともに圧巻だった
「人はとんでもなく金持ちになると、 埴輪を買うんだね。」
箱根の岡田美術館を訪れたとき、
夫がつぶやいた言葉です(笑)
岡田美術館は、「日本のカジノ王」 と呼ばれている
岡田和生さんが収集した 東洋・日本の美術が展示されており、
日本画や陶磁器、縄文土器や土偶などがあります。
伊藤若冲、喜多川歌麿など私でも知っている
日本を代表する画家さんの作品もあって 、
とても見応えのある美術館でした。
正直、私、岡田和生さんに対してあまり
いい イメージがなかったんです。
岡田さんが代表を務めていた
ユニバーサルエンターテインメントは
パチスロメーカーの会社です。
ギャンブルって人を中毒化させて
リピート化 させるビジネスですし、
クライアントさんにもパートナーが
ギャンブル依存症で苦しんでいる方がいたので、
ギャンブル=この世になくてもよいもの、
と思っていました。
りっぱな美術館は、ギャンブルの利益に
よって建てられたのかと思うと、
なんだか複雑な気がしたのです。
また、会社の経営権を巡って家族で骨肉の争いをしている、
というニュースを読んで、ますます闇を感じていました。
一見ダークに見える人の中にも、崇高さ、愛情深さがある
そんな私が、伊藤若冲の展示を見て、
「こんな素晴らしい作品を鑑賞できるのは、
芸術を愛し、保存修復のための資金を
惜しまない人がいるおかげだ」
と思ったんです。
私利私欲にまみれている人であれば、
このような美術館は建てなかったでしょう。
コレクションを公開することで、
豊かさを社会に還元しているんですよね。
そして、どんな人間も「聖と俗」、「善と悪」があり、
どちらか片方だけの人なんていない、
ということに改めて気づいたんです。
そう、あなたが嫌いなあの人も、 愛情深い一面や、
尊敬できる点がきっとあるはずです。
人のもつ多面性を受け入れ、
「あの人はいつもこうだ!」という ジャッジから
自由になることができたら、
誰かともっとつながることができたり、
チャンスを受け取ることができるのではないかと思います。
箱根の東洋美術の殿堂を訪れ、
そんなことに思いを馳せた日でした。